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Piano Management
ピアノの管理方法
ピアノは大部分に湿気や温度の影響を受けやすい木材やフェルト類が使われているため
タッチや音質にも影響が出やすく、重厚な外見とは裏腹に繊細な楽器です。
ピアノを良い状態に保つためには、設置場所に合わせた管理が必要になります。
設置場所について
意外と頭を悩ませるピアノの設置場所。全ての好条件を満たすことは困難です。
ふさわしい場所を確保できないのでピアノを諦める、という声も少なくないのですが
そこまで神経質になる必要はありません。
以下の事を考慮に入れながら、可能な範囲で良い場所を選び
設置場所に合わせた管理方法を調律師に相談しましょう。
〇 エアコンの風が直接当たりにくい場所。
〇 直射日光が当たらない場所。当たる場合はカーテンなどの対策を。
〇 キッチン、風呂場など水場の近くは避ける。
〇 外気温の影響を受けづらい内壁側が良い。
〇 床暖房の上は避ける。置く場合は必ず断熱パネルを設置する。
〇 室内干しをする場所近くは避ける。あるいは近くで室内干しをしない。
湿度について
目安としては温度25℃前後、湿度50%前後。
一年通してこれを一定に保てれば理想ですが、ホールのピアノ庫でもなければ無茶な話しです。
しかしピアノのトラブルのうち、湿気や乾燥が原因となるケースが多いことも事実ですので
設置場所と同じく、あまり神経質になる必要はありませんが次の事に気を付けましょう。
頭の片隅に置き、少しの気遣いで良いのです。それがピアノのコンディションに大きく影響していきます。
湿気対策
日本は湿度の高い時期が長いため、乾燥よりも多湿によるトラブルが多いです。
鍵盤が上がらない、音が出ない、連打しにくい、タッチが重くなる等の症状が発生します。
特に雨が続く梅雨時は注意が必要です。
湿気の多い地域、場所に置く場合、可能なら除湿器を用意してください。
雨の日に除湿器を稼動するだけでも、多湿のトラブルはかなり減らすことができます。
乾燥剤も一定の効果が期待できます。除湿器のような即効性の効果は薄いですが
長い目で見たときには、乾燥剤を定期的に入れ替えているピアノは
入れていないピアノと比べて状態が良い事を実感する事ができます。
乾燥剤はピアノ用の物をお勧めします。ピアノ用乾燥剤(湿度調整剤)の主成分「B型シリカゲル」は
湿度が高い時に水分を吸収してくれるだけでなく、乾燥時には取り込んだ水分を放出する事で
ピアノ内の湿度を適した状態に保とうとしてくれます。
市販の乾燥剤は冬場の過乾燥を助長させる可能性もあるのであまりお勧めできません。
特に水を溜めるタイプの乾燥剤の使用は避けてください。
乾燥対策
冬場の乾燥した時期に、エアコンや床暖房をフル稼働する日が続くと
ピアノにも過乾燥の影響が出やすくなります。
過乾燥が続くと、音律が異常にずれる、雑音が出る
ひどくなると音が出ない、外装がヒビ割れるといった症状が発生します。
乾燥の影響が強いようであれば、加湿器を用意してください。
夏の蒸し暑さに比べ、冬の乾燥は不快感を感じづらいので、湿度計を見ながら管理出来ればベターです。
乾燥した日にエアコンをフル稼働すると、湿度はあっさり40%を下回りますが
この状態は明らかに過乾燥です。広い空間だと加湿器を使用しても50%に近づけるのは
難しいですが、出来るだけ40%を下回らないよう気をつけてください。
また、加湿器はピアノに近すぎる位置には置かないようにしてください。
エアコンと加湿器、ピアノの位置関係により
加湿器の水分をエアコンの風がピアノに運んでしまい、湿気による故障がおこるケースも
ありますので、それぞれの設置場所を考慮する必要があります。
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